ご挨拶

これまで阿伎留病院企業団の企業長根東義明先生の後を継ぎ、令和7年4月1日より、企業長兼院長として就任いたしました。公立阿伎留医療センターは、東京都あきる野市、日の出町、檜原村によって設立された自治体病院であり、305床を有するケアミックス病院として、長年にわたり地域の皆様に貢献してまいりました。また、日本大学や杏林大学、埼玉医科大学をはじめとする多くの大学からのご支援を賜りながら、診療体制の充実に努めております。本年、当センターは創立100周年という大きな節目を迎えます。この歴史を誇りとし、次の100年に向けた更なる発展を目指してまいります。その一環として、当センターでは最新鋭のリニアック放射線治療機器を導入し、山梨大学放射線科・大西主任教授のご指導のもと、より高度な精度のがん治療を提供できる体制を整えました。これにより、乳腺、肺、婦人科、泌尿器、血液、消化器、皮膚など、ほぼすべてのがん治療に対応できる環境が整いました。新たな設備の導入を通じ、地域の皆様により効果的かつ安全な治療を提供し、医療水準のさらなる向上を図ってまいります。
私は2021年に日本大学・血液・膠原病内科を退任し、その後、同年4月から当センターの非常勤臨床顧問、昨年6月からは院長として関わってまいりました。また、それ以前より、日本大学旧第一内科医局長として当院への医師派遣にも携わり、秋川流域の素晴らしさと地域医療の重要性を深く認識しております。この地域の皆様に貢献できることを大変光栄に思い、全力で取り組んでまいります。私が目指す医療について改めて述べさせていただきます。私たちの目指すべき医療は、患者様と医療従事者が共に病気と向き合い、支え合う姿勢です。私たちは「患者様と共に、地域と共に」という理念を掲げ、心の通う医療の提供を目指してまいります。
また、根東前企業長が推進してきた医療DX(デジタルトランスフォーメーション)にも引き続き注力してまいります。当センターは、日本の病院の中でも特に先進的なDXの導入を進めており、私もその推進に全力を尽くします。しかし、医療の進歩は単に技術革新に依存するものではありません。アメリカミネソタ州のメイヨ-・クリニックには「最先端でありながら、最もアナログな医療を提供する」という名言があります。私たちはこの精神を大切にし、最新技術の導入と同時に、人間味あふれる温かな医療の提供にも力を注いでまいります。最先端のデジタルトランスフォーメーション(DX)とアナログトランスフォーメーション(AX)を融合させ、「この病院にかかって良かった」と感じていただける医療機関を目指します。
私たちの使命は、単に医療を提供することにとどまらず、地域の健康と命を守ることにあります。この責任を果たすために、職員一同、心をひとつにし、次の100年に向けてより良い医療機関へと発展させてまいります。引き続き、皆様のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
令和7年4月
阿伎留病院企業団
公立阿伎留医療センター院長
武井 正美